2023.12.18 [mon]
イタリアらしさの詰まったクリエーション、ビトッシ・チェラミケの陶器
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イタリアの陶器といえば、カラフルな絵が描かれたマヨリカ焼き。
観光地ではカラフルに絵付けされたお皿や花瓶が店先に並び、
美術館や博物館でも何枚も飾られているのを目にします。
鮮やかな色の組み合わせとデザインは、イタリアの陽気さや昔の生活の一部を思い起こさせてくれます。
そんな、中世時代にヨーロッパ各地に広まったマヨリカ焼きの窯元が、イタリア・トスカーナにあるんです。
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1. 老舗窯元が、イタリアを代表する陶器になるまで
2. トスカーナとマヨリカ
3. ビトッシ家のアーカイブ
4. ユニークなコレクションたち
◆ Rimini blu by Aldo Londi
◆ Formafantasma Clay
◆ Symbolik by Karim Rashid
◆ Revolver by Christoph Radl
5. おわりに
1. 老舗窯元が、イタリアを代表する陶器になるまで
現在もメイド・イン・イタリアの陶器生産を行うBitossi Ceramiche〈ビトッシ・チェラミケ〉の記録は、なんと1500年代まで遡ります。
フィレンツェからほど近い、モンテルーポ・フィオレンティーノという地で、窯元や彫刻家、画家として活動していたビトッシ家ですが、陶磁器の一貫生産に力を入れ、イタリアにおける陶磁器生産の礎を固めました。
1921年、グイド・ビトッシ氏は、モンテルーポの地に、グイド・ビトッシ・アーティスティック・マヨリカ工場を創立し、陶磁器への研究や生産をさらに追求していきました。
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アルドとエットーレ
それを可能にした背景には、2名の立役者がいます。
Aldo Londi / アルド・ロンディ
50年位以上にわたりビトッシを支えることとなった、アルド・ロンディ。
1946年にビトッシに入社後、50年代から活躍し、現代的で独創性に満ちた作品研究を重ね、後にアートディレクターとしてビトッシの陶器製作に新しい風を吹き込みました。
Riedizioniのコレクションは、1950年代から70年代までのアルド氏のアイコニックな作品の復刻版で、現在もビトッシを代表するコレクションとして愛されています。
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”Figura di gatto ruota” ネコのオブジェ
Ettore Sottsass / エットーレ・ソットサス
イタリアの建築家・デザイナーのエットーレ・ソットサス。
1955年からビトッシの工場に入社し、新しい陶磁器の製作に注力。彼のコレクションはイタリアのデザイン史において新時代を開けたと言われています。
また生涯、タイプライターや家具、自宅のデザインなどを手掛け、彼の作品はニューヨーク近代美術館のコレクションになっているものもあるそう。
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引用:Wikipedia より
ビトッシでは、黒や青などの奇抜な釉薬を使った作品や、エナメル仕上げの作品など、彼のデザイナーとしての魅力が詰まった作品を数々残しました。現在生産しているデザインの多くも、彼の作品です。
老舗窯元の現在
2014年、ビトッシ・チェラミケは、「イタリアにおける歴史的な企業 (Registro di Imprese Storiche Italiane)」に”少なくとも5代にわたり食器や陶器の生産を行う企業”として登録されました。
かつてからの工場の元に現在も所在するビトッシ・チェラミケは、その伝統や技術を守りながら、次の世代の育成や若手デザイナーとのコレクション製作を行っており、現代もイタリアン・セラミックブランドとして世界中から愛されています。
2. トスカーナとマヨリカ
トスカーナ地方におけるマヨリカ焼きの起源は、13世紀に遡ります。
陶器の生産が盛んだったフィレンツェから数キロ離れたモンテルーポは、1400年〜1530年の間、マヨリカ生産の中心地となりました。
多くのフィレンツェの貴族たちが直接窯元に注文依頼したり、モンテルーポで作られたマヨリカ焼きを贈り物として受け取ったりしていました。
当時は輸出用にも生産していたため、多くの窯元があり、15世紀にかけてモンテルーポ出身の職人が力をつけ、イタリア各地に広まっていったとされています。
そもそもマヨリカ焼きとは、ルネサンス期に発祥した、錫釉薬を用いた、鮮やかな色彩が特徴のイタリア陶器。
マヨリカは現在のマヨルカ島を意味し、中世の時代にスペイン・バレンシア地方からイタリアへの陶器輸出の中継地点だったことから名付けられたと言われています。
16世紀はヨーロッパにおけるマヨリカの黄金期とされ、現在もヨーロッパ各地の博物館や美術館で目にすることも多いでしょう。
マヨリカ焼きについての過去記事「イタリアが誇る陶器「マヨリカ焼き」の魅力」も合わせてお読みください。
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3. ビトッシ家のアーカイブ
ビトッシ・チェラミケは、マヨリカ焼きの産地であるモンテルーポに、その歴史のアーカイブを現代も手に取ることのできる場所を提供しています。
トスカーナ訪問の際に、ぜひ足をお運びください。
Archivo Museo Bitossi
創立100周年を記念し2021年にオープンした、ビトッシ・アーカイブ美術館は、これまでの陶磁器コレクション、石膏模型、作業工具など7000点以上が収蔵されており、その展示品と資料の数は圧倒的。
Centro Ceramico Sperimentale
ビトッシ家が設立したコロロッビア・グループによって運営されているチェントロ・チェラミコ・スペリメンターレは、セラミック生産に携わる専門家の育成のために2016年に建てられた、セラミックセンター。
高等専門学校での職人の育成や、釉薬や粘土などの原料の研究、歴史的な技術や資料の保存などが行われており、趣味で陶芸を始めたい人から専門家まで、たくさんの人の学びの場となっている。
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4. ユニークなコレクションたち
何世紀も受け継がれている伝統や技術と、ユニークなデザイナーたちとの魅力的なコレクションをご紹介いたします。
Bitossi Ceramicheを通して、イタリアの陶器における歴史と現代を手にとってみてはいかがでしょうか。
*各商品画像をクリックすると、商品ページに移ります*
Rimini blu by Aldo Londi
1959年から継続的に生産されている、ブランドを代表するコレクション。
幾何学模様や円などを組み合わせた緻密なデザインと、青く鮮やかな釉薬、焼き上げた後に光によって移り変わる色が特徴的です。もちろん、様々な動物のモチーフも。
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Formafantasma Clay
素材に焦点を当てた、ファンタズマ・コレクション
形成したものを職人が手で引きちぎることで、唯一無二のギザギザなエッジに仕上げることができます。陶器の生々しい表現力に迫った、モダンなコレクションです。
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Symbolik by Karim Rashid
2006年に発表された、カリム・ラシッドとのコレクション
様々な形のブロックがカラフルな色のパレットと共に表現ざれたこのコレクションは、モダンでユニークです。白粘をエナメルで被せた、陶器とも思えない質感がたまりません。
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Revolver by Christoph Radl
グラフィックデザイナー ラドルによるコレクション
温かみのある暖色の組み合わせと、グラフィックなデザインが特徴。
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5. おわりに
イタリアを代表とする、歴史と現代が交差するBitossi Ceramiche、いかがでしたか。
イタリアらしいポップなカラーをリビングや書斎に、差し色として取り入れるのもオシャレですね。
当サイトでは、この他にもビトッシ・チェラミケの製品を取り揃えております。
ぜひ、ご覧・お問い合わせください。
ビトッシ・チェラミケの商品一覧はこちら
〈参考〉
Fondazione Vittoriano Bitossi ホームページ
Union Camere : Bitossi Ceramiche srl
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