2022.11.05 [sat]
秋を食べよう ~ かぼちゃ・きのこ・栗 ~
秋といえば、食欲の秋!
イタリアでも旬を迎える食材たちが市場に出始め、人々の食欲をそそる時期になってきました。
今回は秋に旬を迎える食材、かぼちゃ、きのこ、栗について紹介します。日本でも馴染みがある食材ばかりですが、イタリアではどのように食べられているのでしょうか?
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1. イタリアの秋の味
5. 終わりに
イタリアの秋の味
気づくと木々の色がカラフルに変わり、肌寒く感じる日々が続くようになってきましたね。今年は暖冬と予測されていたイタリアも、筆者の住む北部では最低気温が10度前後まで下がるようになり、そろそろ冬支度をしようかな?という頃です。
秋といえば日本では食の季節と言われますが、実はイタリアもそうなんです。前々回の「イタリア版”お盆休み”、フェラゴスト」や前回の「旬のフードイベント、サグラに行ってみよう」で取り上げているように、夏から秋にかけて収穫祭が行われたりサグラとして伝統的な料理を振る舞ったりします。
今回はイタリアの秋の食材を代表するかぼちゃ、きのこ、栗について、その魅力を詳しくみてみたいと思います。
かぼちゃ・pumpkin・zucca
かぼちゃは英語でパンプキンと呼ばれますが、イタリア語では〈ズッカ / zucca(複数形はズッケ/zucche)〉と言います。
この時期、スーパーマーケットではかぼちゃのコーナーがぐっと広がり、何種類ものかぼちゃが並んでいるのが見られ、一気に売り場が華やかになります。
kg単位で値段が設定されていることの多いイタリアのスーパーでは、売り場の隅に量りが設置してあり、自分の欲しい量・金額だけ購入することができます。
かぼちゃやキャベツなど、一個が重く大量になる食材は、あらかじめ半分、1/4などの大きさにカットされたものが売っているので、とても便利です。
特徴
イタリアのかぼちゃは日本のかぼちゃに比べて、全体的に甘さが控えめで水っぽく、ホクホク感があまりしません。
日本で食べるような煮物にはあまり向いていませんが、スープやペースト状にすることが多いようです。
イタリアの代表的なかぼちゃ
- マントバ・かぼちゃ
皮が緑で、日本で見るかぼちゃと似た見た目のかぼちゃです。
イタリアのかぼちゃの中でも甘さがある方で、トルテッリなどのフィリングやスイーツ、クリームなどに適しています。
- バターナッツ
長細いひょうたん型が特徴のかぼちゃ。
世界的にも広く普及している、甘くて香りの良いかぼちゃです。ベージュの皮をしており、スープやリゾットなどによく用いられます。
- ホッカイドウ・かぼちゃ
うちき栗、栗かぼちゃとしても知られ、最近イタリアでも市場に出回るようになった、日本原産のかぼちゃ。
元気なオレンジ色の皮が鮮やかで、クルミや栗などの味と好評価を受けています。
そしてこの時期だけのかぼちゃ、「デコレーション専用のかぼちゃ」。10月30日のハロウィーンや秋のデコレーション用に、食用ではない変形カボチャも売られています。
”オーナメント専用、食べられません” という注意書きと共に、いろんな形や色のかぼちゃが並んでいるのも気分をワクワクさせてくれます。
ちなみにイタリアではハロウィーンは元々祝う習慣はありませんでしたが、アメリカなどのカルチャーとトレンドの普及によって、主に子供やその家族の間で近年行われるようになリました。
かぼちゃを使った料理
◉ Risotto alla zucca / かぼちゃのリゾット レシピは こちら (イタリア語)
◉ Gnocchi di zucca / かぼちゃのニョッキ レシピは こちら (イタリア語)
きのこ・mushroom・funghi
きのこはイタリア語で〈フンゴ / fungo(複数形はフンギ/funghi)〉といい、メニューなどを含め通常は複数形が用いられます。
イタリアのきのこといえばポルチーニ〈porcini〉が有名ですが、日本では見かけない他の種類のきのこも一般的に食べられています。
かぼちゃと同様、きのこの種類も豊富なイタリアでは、秋になるとスーパーマーケットに「きのこセット」が並ぶようになります。様々なきのこが1パックになり、パセリやにんじんのみじん切りが入っていて、そのまま料理に使えるようになっているのでとても便利です。
イタリアの代表的なきのこ
- シャンピニオン
最も一般的な白いマッシュルーム。年中スーパーマーケットに並んでいる定番のきのこです。
クセがないので、ソテーからパスタまで何にでも使えます。
- ポルチーニ
イタリア秋の味覚を代表するきのこ、ポルチーニ。
ころっとした見た目には似つかず、濃厚で肉厚、風味が強いのが特徴です。その存在感から、リゾットなどメイン料理に使われることが多いです。
- ピオッピーノ
しめじに似た小さいきのこ。
小さい見た目からは想像し難いですが、しっかりした香りと特徴的な味がクセになります。他のきのこと炒めたソテーやポレンタの付け合わせとして食べられることが多いです。
きのこ狩りに行ってきました
休みには山へ出かけることが多いイタリア人たちですが、この時期には山へきのこ狩りに行く人が大勢います。筆者も先日、初めてイタリアでのきのこ狩りをしてきました。
この後、パスタときのこのソテーにして美味しくいただきました。シャキシャキとした食感が新鮮でとても貴重な体験になりました。
注意:山を熟知している仲間と登っています。中には有毒のものや食べられないものもあるので、むやみにきのこ狩りに行かず、山に詳しい方と行くことをおすすめします。
きのこを使った料理
◉ Risotto ai funghi porcini / ポルチーニのリゾット レシピは こちら (イタリア語)
◉ Lasagne ai funghi / きのこのラザニア レシピは こちら (イタリア語)
栗・chestnut・castagna
英語でchestnut、イタリア語では〈カスターニャ / castagna(複数形はカスターニェ/castagne)〉。
日本ではモンブランケーキや栗ご飯などにして食べられますが、イタリアでは街の広場などで、大きなフライパンのようなもので栗を焼き、その場で皮を剥いて食べるという秋の風物詩が見られるようになります。
イタリアの代表的な栗の産地
- クーネオ Cuneo
栗が育つ最適な土地とされている、フランス国境近くの街。伝統的に栗の栽培がされてきました。
イタリアで3番目にIGPのマークを獲得し、小ぶりで歯応えがあるのが特徴です。
IGP=保護指定地域表示あるいは地理的表示保護
- モンテ・アミアータ Monte Amiata
トスカーナ地方のアミアータ山付近では何世紀にもわたり栗の栽培が行われており、14世紀には栗の木の保護と利用に関する取り決めに関する言及があったと記録されているそうです。
こちらの栗もIGP認定を受けていますが、中〜大粒で甘味があるのが特徴です。ジャムや小麦粉に加工されるほか、トスカーナ伝統料理の栗のポレンタとして食べられています。
- モンテッラ Montella
南はサレルノ近くの街、モンテッラとその周辺で栽培される栗もIGP認定を受けています。
1987年に野菜に起因するイタリアで最初のD.O.P.認定を獲得した後、1996年にIGPに置き換えられました。中粒で皮から剥がすのが簡単で、歯ごたえがあります。栗、チョコレート、ヘーゼルナッツを詰めたカンパニアの焼き菓子、栗のカルゾンチェッリが有名です。
栗を使った料理
◉ Castagnaccio toscano / 栗粉のタルト レシピは こちら (イタリア語)
◉ Crostata di castagne e cioccolato / 栗とチョコレートのタルト レシピは こちら (イタリア語)
終わりに
イタリアの秋の食材たち、いかがでしたか?
日本にもある食材も、所変わると全く違う種類や調理法がありますね。イタリア滞在中も、旬を意識してメニューや食材を選んでみるとまた違った発見があるかもしれません。
〈参考サイト〉
イタリアのきのこに関するサイト:https://www.fungoitaliano.it/tipologie-di-funghi/
イタリアの栗の関する記事 :“Le migliori castagne d’Italia: dove raccoglierle“
イタリアのレシピサイト:https://www.giallozafferano.it/