2020.08.02 [sun]

イタリアの職人はどんな素材を使っている?

イタリアには一つ一つ手作業で、丹念に物づくりをしている職人が様々な分野で、昔も今も活躍しています。

町をお散歩していると所々で見かける生き生きとした職人達。多くの木材にかこまれた作業場でアンティーク家具をリメイクしている職人、そして注文家具を作っている職人、皮を裁断・縫製して靴やカバンを作ったり修理をしている職人、ベネチアに行けば窯の前で吹きガラスをしているガラス職人、南半島に行けば焼き物に絵付けをしている陶器職人、そのほかにも額縁職人、鉄細工職人など。昔ながらの素晴らしい技術を21世紀の今でも大事に大事に守り続けている達人がたくさんいます。

職人がものづくりで大切にしていること

これらの職人が、ものづくりで最も大切にしているものは、熟練された技術と知識、洗練されたデザインと何といっても素材選びでしょう。

職人が厳選する素材はどのようなものなのでしょうか。特に家具づくりで最も重要な材料である木材は用途によって、加工の仕方、木目の出し方によって使用する木材が変わってきます。

木材の種類にも天然木をそのまま切り出した無垢材と無垢材を薄くスライスしたものを表面に張った突板がありますがイタリアでは無垢材を使用することが多いです。 同じ木目を持つ木は2つとないので、木本来の表情や肌触りがたいへん魅力的で、お手入れやメンテナンスをしてあげることで味わい深い経年変化が生まれます。

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使用する木の種類

そして木の種類の中には、世界三大銘木と呼ばれる世界的に人気の高級木材「ウォールナット・チーク・マホガニー」があげられます。その中でオークと同等の強度を誇り、木材に狂いが生じにくい、ウォールナット(クルミ材)がイタリアではよく使われます。ねじを締めても釘を打ってもしっかり中に固定され、色が暖かく、表情にも柔らかみがあるのが特徴。油分を多く含むのでツヤがあり高級感があります。

その他にも野球のバットに使われるほど丈夫な、広葉樹の中で硬く、耐久性に優れているアッシュ材。耐久性だけでなく、深くはっきりとした木目の美しさが魅力的で、経年変化を楽しむことができる上質な木材。

 そしてアッシュよりも更に固く、強度が高く、重みのあるのがドングリの実る木、オーク。オーク材は重厚感がハッキリとした木目の美しさも人気で、木目には3種類あって、それぞれに見え方が異なります。そして反りや割れが生じにくいのも特徴です。このように作りたい家具にぴったりな素材を厳選し、木の風合いと作品を調和させる、それも職人の腕の見せ所。

その他の職人は

 その他の職人はどうでしょうか。陶器職人はどんな土を使っているのでしょうか。

イタリア陶器といえば、マヨリカ陶器。そのマヨリカ焼きをヨーロッパに広げたのは北イタリアにあるファエンツァの陶工です。そのファエンツァでは近くの山からきめの細かい良質の白陶土が豊富に取れることで有名です。

そして良く耳にする、テッラコッタ。これはイタリア地中海沿岸で豊富に取れる赤紫色をしている赤い土(テッラロッサ)を焼いたもの。いまでも南イタリアでこのテッラロッサを成型し窯で焼き、絵付けをする陶器職人が多く活躍しています。このように、それぞれの土地で取れる良質の材料を使い、それぞれの技法で陶器の産業を発展させてきました。そして今でもその土地ならではの魅力のある陶器が作り続けられています。

このように素晴らしい天然素材と素晴らしい技術を持った職人の手作業とのコラボレーションにより、世界に一つしかない最高な作品が生まれるのです!!!

この記事の著者

Akko

イタリア・ボローニャ在住、10年以上。

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