2020.01.02 [thu]

イタリアの職人の働きぶり

イタリアにいると至る所で目にする言葉 “ARTIGIANOアルティジャーノ” “職人”
人間が生きていく為に、不可欠な衣食住文化の様々な分野で、多くの職人たちが活躍しています。その中の居住文化でどんな職人が活躍しているでしょうか。

例えばヴェネチアのガラス細工職人、アンティーク家具の修復をするリペア職人、家具職人、陶器職人、木工職人、鉄職人など多くの職業があげられます。

日本と同じですがこれらの職人業は、昔からの手法を代々引き継がれた技術を大事にしています。今イタリアでは、その職人を育成する学校もあり、未経験の新人を採用して持続する可能性と品質を最優先する精神を徹底して教えているそうです。さらに新しい技法を開発し取り入れながらイタリアは職人業を守り続け、ヨーロッパの腕の良い職人が集まり、お互いに刺激を与え合いながら芸術文化を発展させ続けています。

現在、大量生産に力を入れるメーカーが多い中、この職人たちは一つ一つ時間をかけて量産はできませんが手工業で高品質な作品を作り続けています。小さな工房で機械では表現できない、曲線美であったり、色合いであったり、手工業だけしかできない技術を活かしての物づくり。それはこの職業を愛しているからこそ続けられることであります。

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そして、すべてのイタリア職人に共通する点は、自分の仕事に自信と誇りを持っている事。お客様の要望はもちろん聞きますが、職人としてのプライドがある為、時折聞き入れてくれない場合もあります。長い経験と研究の積み重ねから素材・構造などを知る尽くしているために、アイデアが豊富にあり、発想も豊で、お客様に提案が溢れるほど出てくるのです。そして自分の仕事を完璧にする為、自分が納得できないものを作ることが出来ないのです。お客様の注文通りに作る日本ではあり得ない事ですが、これは職人としての自信があるからこそ、満足のいく素晴らしい物をつくる為の職人のこだわりなのです。そして頑固者も結構多く、モノづくりに関して質問すると終わりがないほど語りるほどです。

また最近、職人による作風が少しずつ変わってきていると感じます。作品がとてもモダンで現代的であること。昔ながらのデザイン・手法だけの物づくりの時代は終わってきているようです。若手デザイナーの斬新なデザインを熟練された職人が創りあげる、まさに現代と歴史のコラボレーションから生まれる傑作品。現代的デザインを大量生産工法で作ると、斬新でシャープで少しクールな感じがします。しかし職人の手によって作られると、温もりのある奥深い作品に仕上がります。それは職人の不思議な魔力があるからでしょう。

それらの職人により作られた家具・オブジェたちは毎日使っていても飽きる事がなく、日に日に愛着がわいてきます。おそらく職人たちは使い手にそんな気持ちで使って欲しいと願いながら、魂を込めて、物づくりをしているのだと私は思います。カテゴリー:デザイン時計 デザイン雑貨

この記事の著者

Akko

イタリア・ボローニャ在住、10年以上。

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