2020.08.03 [mon]

イタリアのエコバック事情

私が初めてイタリアに長期滞在し始めたのは2006年。語学力などほとんどないレベルでした。

スーパーで買い物をすると、レジ係のお姉さんが作業しながらいつも何か単語を言ってきました。
わからないので「え?」という顔をすると、面倒そうに台の下から袋を取り出してくれました。

そんなことが数回続いて、やっとお姉さんがなんて言ってるのか聞き取れるようになり、辞書で単語を調べると、「sacchetto 」サケット、袋だったとわかりました。
袋が有料なので、毎回必要かどうか聞いてくれていたのです、そして「あぁ、この子言葉がわかんないのね」と毎回思われ、袋を出してくれていたのでした。

イタリアのレジ袋

当時のイタリアのレジ袋は、プラスチック製の、日本の白レジ袋と同じ素材で、特大のみでした。
日本のように大中小などの細かい選択はありません。たしか5セントくらいだったと思います。

調べてみれば、なんと1989年より有料になったのだそう。ずいぶん前からです。

そう、EUでは、プラスチックごみ対策については世界で最も進んだ取り組みをしているのだそう。そして2011年よりプラスチック素材の袋は禁止となり、環境にやさしい生分解できる(自然分解でき、堆肥化可能な)レジ袋だけが購入可能となりました。これはシャカシャカ音がするようなものではなく、ソフトな触り心地の素材です。この素材は、現地で家庭生ごみを捨てるための袋の素材でもあります。(地域にも因るかもしれませんが)
この時点で、シャカシャカ音のするレジ袋がイタリアからほぼ消えることになりました。

しかし、この環境にやさしい袋、というのが、買い物する者には結構厄介でした。
パンなど軽いものを入れるのならいいのですが、飲み物のボトルなど重いものをガンガンに入れるとすぐに破れてしまうような弱い素材です。
なので、買い物をして家に帰るともう穴が開いていて、ゴミ袋としての再利用も難しい状態になることが多い。結局エコバックを持って行った方がいいと思わざるを得なかったのです。今はもしかして改良されているのかどうか‥

イタリアのエコバック

どのスーパーでも、同じような、写真のような形のエコバックが売られています。
そのスーパーの名前の入ったオリジナルデザインのものが多いです。
大容量で、丈夫で、しかもおしゃれデザイン(デザインは頻繁に変わります!)、1.5€ほどで買えたと思います。
欧米のスーパーのショッピングカートが日本のものより全然大きいのと同じで、
エコバックもダイナミックです。
ピクニックなどに使える!と思い、私は日本に2枚買って持ち帰りましたが、
もったいなくて使っていないのが現状です。
そろそろ普通に買い物のときに使おうかと考えています。

スーパーマーケット”CONAD”のショッピングバック
こちらはCOOPのもの
現地でよく行っていたペニーマーケットのもの

日本の袋事情

海外で生活した経験がある多くの人は、こう思うのではないでしょうか。
日本ではいちいち袋を使いすぎる‥。
私はそう思っていました。小さなもの一つ買うだけで、日本では袋に入れようとします。(入れようとしていました。)
お店側としては、お客様を丁寧に扱う意味でやっていたでしょう。
お客さん側としては、袋に入っていた方が、“何となく”便利、“何となく”安心、と思っていたことが多いでしょう。
私はイタリアに住み始めた頃この感覚でいたら、お店の人に、
「は?こんなのに袋いらないでしょ?」とか、
「袋?終わっちゃったわよ!」(明らかにウソ・・)
のような対応をされ、無駄だと気づかされました。


今、日本もやっとレジ袋が有料化になり1か月経ちました。
今まで小さな商品の購入にもいちいち袋を使っていたという無駄に気づかされた人はとても多いのではないかと思います。

この記事の著者

Yoko Shimi

イタリアデザインのスタッフです。

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