2021.04.21 [wed]
インテリアの歴史は思想の歴史
インテリアの歴史を掘り下げれば、コーディネートの指針も見えてきます。
知ることのなかった世界が見えると楽しみは一気に広がることでしょう。
どんな部屋にするのか、歴史を紐解きながら検討していきませんか?
インテリアの歴史は古代から
古代ギリシャ・ローマの時代からさかのぼります。
古典様式として、後々の西洋の様式に大きな影響を及ぼすスタイルです。
この古典様式は主に”威厳を表すためのもの”という意味合いが強いものでもあります。
その後の様式として代表の3つが下記になります。
ビザンチン(ビザンツ)様式
6世紀及び7世紀ごろのローマ、ビザンツ帝国の元で広がった古典文化を引き継いだ様式。
中世ヨーロッパの建築技術にも影響を与えており、後のロマネスク様式へも継承されているものです。
様式としての特徴はドームとモザイク画。
絵画においてはギリシア正教のイコンと呼ばれる聖具も美術的価値の高いものとして、知られています。
現在のイスタンブールにあるハギア・ソフィア聖堂が代表例です。
後にはイスラム教のモスクとして改造されており、周囲に四本の塔が加えられています。
モザイク壁画の逸品として、北イタリアはラヴェンナにあるサン・ヴィターレ聖堂も同様であり、どちらの聖堂も世
界遺産に登録されています。
ロマネスク様式
11世紀から12世紀にヨーロッパで広がっていった建築・彫刻・絵画などの美術様式。
後の12・13世紀にはゴシック様式も展開しています。
ロマネスク様式の特徴としては、厚い壁と小さな窓に円形アーチがあります。
主に修道院の建築様式として発達しており、全体的に重厚で安定した作りになっています。
装飾は基本的に少なめであり、まれに内部にフレスコ画が描かれています。
この様式の代表例は、イタリアのピサ大聖堂・フランスのクリュニー修道院などがあります。
ゴシック様式
12世紀にスタートして、13世紀14世紀に西ヨーロッパに広がっていった美術様式。
この後の15世紀からイタリアを中心としたルネサンス様式へと移り変わっていきます。
ゴシック様式の特徴として、尖閣アーチに広い窓、そして薄い壁があります。
都市の復興を背景に市民同士の経済的な協力から教会堂の建築を始めていき、高くした天井と広くとった窓(ステン
ドグラス)での装飾が特徴的です。
ゴシック様式の代表的な例としては、パリにあるサン・ドニ修道院、ノートルダム、イタリアではシエナやアッシ
ジ、ミラノの大聖堂がとても有名です。
イタリアフィレンツェから始まったルネッサンス運動
インテリアの歴史として外せない出来事がここでまたひとつ。
15世紀より人間性と自由な文化を推し進め実現させようとするルネッサンス運動がイタリアはフィレンツェから始ま
りました。
中世のキリスト教中心の封建社会が原因となり、自由を求める人たちの間で生まれた運動です。
やりたいようにできなかった、という点がとても大きく職人や芸術家達が一斉蜂起したんですね。
結果として、建築・美術などあらゆる”人の手によって作られるもの”へ影響を及ぼすこととなります。
イタリア出発から、ヨーロッパ全土で様々なルネッサンス運動が展開されていきます。
古代様式の復帰
キリスト教中心の封建社会により、一時止まっていた様式を復活させます。
キリスト教中心から人間中心の考え方に切り替わっていったため、
建築から装飾、そして家具と”人の生活に直結したもの”へ多大な影響を及ぼしていきます。
未来派
中世からの封建社会から資本主義社会への切り替わりにともなって生まれた前衛的芸術思想。
時期的には第二次大戦中に強く動いていた考え方でもあり、フトゥリズモ・フューチャリズムなどとも呼ばれていま
した。
代表的な芸術家として、ウンベルト・ボッチョーニ、ジーノ・セヴェリーニがいます。
イタリアンモダン
時期的には第二次大戦以降になります。
イタリアにおける戦後復興の真っ只中、ジオ・ポンティ創刊の「ドムス」誌から発表されたインテリアデザインで
す。
特徴として、モノトーン・青・赤・黄などの強い色を用いてシンプルかつ機能的なフォルムであることに重きをおい
ている点です。
プラスチックやポリカーボネイトなど、当時は新しい素材をうまく利用したインテリアアイテムを生み出しました。
統一感を持たせることと、発想の転換
インテリアの歴史は、”思想の転換”に伴うものでもあります。
しかし、今日に至っては、必ずしも思想に直結させる必要はありません。
日本でも資本民主主義の考えかたでありがならも、大正ロマンなどの様式美を求める人たちは沢山います。
つまり、コーディネートは”自分の好みの表し方”。
自分と、場合によって家柄を表現する方法です。
温故知新の精神で、新しい自分をどんどん開拓していってください。
参考資料
こちらもお読みください。