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ITALIA DESIGN BLOG
2023.04.02 [sun]
イタリアのお祭りとして世界でも有名な「ヴェネツィアのカーニバル」、みなさんは聞いたことがありますか?
クリスマス、お正月が終わったのも束の間、クリスマス、お正月が終わったのも束の間、2月から3月にかけて、イタリアの各地でカーニバルが開催されます。
今回はイタリアのお祭り、カーニバルについてご紹介しようと思います。
INDEX : クリックで移動
2. 復活祭とカーニバル
◉ カーニバルの語源はラテン語
◉ イエス様の復活
◉ 40日間の苦行、四旬節
◉ たくさん食べる告解の火曜日
◉ まとめ:カーニバルから復活祭まで
◉ 復活祭にまつわる言い回し
5. 終わりに
「カーニバル」と聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?
筆者はヴェネツィアやリオ(ブラジル)という地名が思い浮かびます。
それもそのはず、スイスのバーゼルカーニバルと合わせて、これら3つは世界三大カーニバルと称されています。
ではそもそもカーニバルとは何を指すのでしょうか?
カーニバルとは、日本語で「謝肉祭」と呼ばれるキリスト教の行事のことで、主にカトリックの国々で行われる祭りを指します。
キリスト教の国々では、復活祭(イースター)の40日前から始まる四旬節の期間中は、食を断つ習慣があります。その断食前にたっぷりと飲み食いしよう!という行事が、カーニバルなのです。
現在はサーカスやパレード、パーティーなどの娯楽的な要素を含むことが多く、コスチュームやマスクを身につけるのもその一環とされています。
また地域によっては花火、音楽、踊り、芸術パフォーマンス、社会風刺なども行われ、市民から愛されている行事の一つです。
移動式祝日である復活祭に合わせ、通常2月から3月上旬に行われ、3日から8日間行われます。
復活祭?カーニバル?という方のために、ここで少しキリスト教と復活祭、カーニバルの歴史を簡単に解説したいと思います。
復活祭はイタリアをはじめとする西洋の文化の中で、クリスマスと同様重要なイベントですが、復活祭に関わる宗教行事が多く、キリスト教に親しい西洋人でも本来の意味を知らないこともしばしばあるようです。
カーニバルは英語で〈カーニバル / Carnival〉、イタリア語では〈カルネヴァーレ / Carnevale〉と呼ばれますが、その語源はラテン語。
「肉よ、さらば」という意味のcaro vale、
もしくは 「肉を取り除く」という意味のcarnem levareが元になっている説が有力だそうです。
カーニバルの歴史を辿っていくと、ローマ時代の冬至祭〈サートゥルナーリア祭 / Saturnalia〉まで辿り着きます。
キリスト教の初期に、この新宗教に加入したローマ人を囲うために、彼らの間で行われていた農耕祭を認めたもので、キリスト教徒にしては異教的な祭りであったとされています。その地域の民俗的な風習を巻き込みながら、発展していったようです。
やがてキリスト教の行事となったカーニバルは、イエスキリストの復活を祝う復活祭に関わる行事へとなっていきます。
某テーマパークで“イースター”として親しまれたり、うさぎやカラフルな卵のモチーフが街中で見られたりと、「イースター」という名前自体は日本でも聞かれるようになりましたが、イースターは日本語で「復活祭」と言います。
誰の復活でしょうか?
そう、イエスキリストです。
十字架で処刑されたイエスキリストが、予言通り亡くなった3日後の日曜日に復活したことを祝うお祭りです。
「その年の春分の次の満月から数えて最初の日曜日」がイースターとなるため、毎年変わる祝日です。
今年は4月9日、2022年は4月17日、2024年は3月31日になります。
復活祭を迎えるにあたって身を清めたり、自分を見つめ直す準備期間が四旬節。
ラテン語のQuadragesimaから、イタリア語では〈クアレージマ / Quaresima〉、英語では〈レント / Lent〉と呼ばれ、復活祭から数えて、日曜日を除く40日前の水曜日から、長い四旬節が始まります。
この水曜日のことを灰の水曜日と呼んでいます。
節制をし自分を見つめ直すという意味合いから、伝統的には食事や祝い事の自粛が行われ、主に祈り・断食・慈善を通じて悔い改め、償いの業が奨励されてきました。
古代初期から中世の頃は厳しく節制が行われ、肉のほか卵や乳製品も食べることを禁止し、なんと1日に1度しか十分な食事が許されなかったそうですが、それ以降その意義は次第に薄れ、現代ではほとんどの信者がこのような節制はしていないとされています。
苦しい四旬節の始まりである灰の水曜日の前日を告解の火曜日と呼び、これは1週間続くカーニバルの最終日にあたります。
四旬節に向けてたくさん飲み食いをするカーニバル期間ですが、その最終日には脂っこいものが食べられたことから、イタリア語では〈脂の火曜日 / マルテディ・グラッソ / martedì grasso〉と呼ばれ、英語圏(主に英国)では「パンケーキ・デー」と呼ばれています。
卵や牛乳、砂糖などを一気に消費することから名付けられたようです。
すなわち、2月に行われるカーニバルは、40日(46日)の四旬節を乗り越え、4月のイエスキリスト復活祭を迎えるための最初のお祭りなのです。
キリスト教の復活祭とそれにかかわる典礼、少しわかっていただけましたでしょうか?
キリスト教の宗教行事である復活祭とその典礼ですが、人々の暮らしに根付いていることから、やがて行事にまつわることわざができました。
中でも有名なものを3つ紹介します。皆様も使ってみてくださいね!
■ “Lungo come una Quaresima” / “四旬節のような長さ”
:40日間の苦行になぞらえ、しつこいように長く退屈な事柄に用いられることわざ。
L’attesa dal dentista è stata lunga come una Quaresima. / “歯医者の待ち時間は四旬節のように長い。”
■ “Venire come la Pasqua in domenica” / “日曜日の復活祭のごとくやってくる”
:復活祭は移動式祝日ですが、日曜日であることは変わりません。このことから、物事が適切な瞬間に起こる時に用いられることわざ。
Neanche a farlo apposta, l’appuntamento con Giulia viene proprio come la Pasqua in domenica. Finalmente potrai dirle quello che provi per lei! / “狙ったわけじゃないけど、ジュリアと会う約束は日曜日の復活祭のようにやってくるね!これでようやく、君の気持ちをジュリアに伝えられるじゃない!”
■ “Natale con i tuoi, Pasqua con chi vuoi” / “クリスマスは家族と、復活祭は好きな人と”
:クリスマスは親戚家族が一斉に集まる祝日であるのに対して、復活祭は友達や恋人、同僚など自分の仲間と過ごす様子を表す言い回しです。春の訪れを楽しむため、友人や恋人と旅行に行ったり、ピクニックや散歩などをして楽しむのが現代のイースターの過ごし方となっています。
豪華な衣装や仮面で世界的にも有名な、伝統のあるヴェネツィアのカーニバル。
一説によると、1162年に教皇制をめぐる争いにてヴェネチアが軍事的勝利を収めた記念に、サンマルコ広場に人々が集まり踊り始めたことがきっかけとされています。
18世紀には世界的に有名になりましたが、1797年にオーストリア皇帝フランツ2世の元では一度廃止された歴史を持っています。
現在のカーニバルは1979年に復活したもので、伊政府やヴェネツィア市がヴェネツィアの歴史と文化を後押しすることで実現しました。
最も重要なイベントの一つは、“La maschera piu bella(最も美しい仮面)”のコンテスト。
ヴェネツィアのカーニバルといえば特徴的な仮面ですが、その名もベネチアンマスクと呼ばれ、かつて革や磁器、ベネチアンガラスなどさまざまな素材を用いて独創的に作られていました 。
現代のものはほとんどが石膏と金箔、羽毛、宝石などで作られ、手描きで描かれているものもあります。Mascherariという仮面作り職人が存在し、現在も伝統を引き継いでいます。
今年は2月4日から21日まで開催されました。
1873年から続く、イタリアでも有名なカーニバルの一つ、ヴィアレッジョのカーニバルは、旧市街地の中止を通る大きなパレードが見どころです。
ヴィアレッジョの童話や物語にちなんだワゴンが街を練り歩いたり、その時の政治や有名人の風刺をしたりと、ウィットに富んだパレードが街の文化となっています。
それらの大きなワゴンは、職人たちによって支えられています。1925年にある建築家によって生み出された水と小麦粉、新聞紙、石膏を用いた張り子の技術は、ワゴンの規模を軽く、大きくするのに貢献し、現代のような巨大なパレードが可能になりました。
現在は25以上の会社、1000人以上の従事者がおり、そのほとんどは代々受け継いでいる職人。地域の学校や施設と共に博物館の運営やワークショップの開催などを行うほか、ワゴンを手作業で作るところから、終了後リサイクルをするところまで、循環した仕組みも持っているそうです。
高さ20メートル以上、幅12メートル以上にも及ぶワゴンは、まるでテーマパークのパレードを見ているかのような壮大さ。所々動いたり、スピーカーが内蔵されていたりと、仕掛けがたくさんあり、観客を魅了します。
今年は2月4日から25日まで開催されました。
これまで紹介してきたように、通常2月に行われるカーニバルですが、3月末にもカーニバルを行う地域があります。ベルガモもその町の一つです。
このカーニバルは「半四旬節(Mezza Quaresima)」と呼ばれ、四旬節の第4日曜日に行われます。
40日間の苦行の半ばに、その厳格さから一時的に解放されることを目的とした祭りでしたが、カーニバルや四旬節と同様、現代は宗教的な意味合いは薄れ、2回目のカーニバルのように楽しまれています。
ベルガモでは、先日3月26日日曜日に半四旬節のカーニバルが行われ、筆者も見に行ってきました。
去年はコロナ明け久しぶりに再開され、規模は小さかったものの約5万人の観客が訪れましたが、今年はフル・バージョンになって開催されるとのことで、住民の期待も大きいものでした。
今年のベルガモの半四旬節のイベントは、3月25日・26日の週末に行われました。25日には街中で、主に子供向けの復活祭や半四旬節にまつわるゲームやアトラクションが開催されましたが、メインイベントは26日のワゴンと踊りのパレードです。
歩行者天国になった街中をさまざまなワゴンや人々が続けざまに通っていくのは、日本の○○行列、○○パレードのような風景でした。
(ちなみに雨模様が懸念されていたため、筆者はルートの脇にあるコーヒー店の2階より観覧。そのため写真が少し遠く上からになっています。)
ベルガモの民族衣装を着た人、ヴェネツィアのカーニバルのような豪華な衣装と仮面を身に纏った人、海賊になりきった子供たち、“ジャングル”や“教皇”をテーマにした団体など、見てて飽きることのないワゴンが、計58参加しました。
筆者のお気に入りは去年から、ボリビアン・コミュニティのダンス。
去年初めて見たパレードで全体の3〜4割ほどがボリビアの団体だということに気づいたのですが、ベルガモには大きなボリビア人の移民コミュニティがあり、その大勢がこのパレードに参加しているのだと知りました。
ベルガモでボリビア!?と思ったのですが、今年もとても見応えのあるパフォーマンスをしてくれた彼ら。
まず見た目をひくのが煌びやかな衣装。ネオンを多彩に用いた揃った衣装を着て、女性はハイヒールにミニスカート、男性は足に鈴をつけた派手な衣装で、踊るとシャンシャンと音がします。
そして一糸乱れぬ踊りは圧巻です。音楽に合わせて上下、前後左右に大勢が動く様を見て、隣で見ていたベルガマスコ(ベルガモ人のこと)のおじいさんも「Bravissimi!」と歓声をあげていました。
元から晴れのち曇りの天気予報でしたが、天候に恵まれずパレードの最中に雨が降ってきてしまい、肌寒い午後になりました。それでもパレードは中断することなく、約2万人の観客がイベントに訪れたそうです。(地元紙調べ)
冬から春へ移り変わっていく人々の高揚感が感じられ、とても良い休日になりました。
春の訪れを知らせるキリスト教のカーニバル、いかがでしたか。
個人的には、世界中で祝われるカーニバルが宗教行事であることをより深く知ることができたおかげで、
異文化への理解が深まり、さらに旅行やイベントへの参加への意欲がわきました。
これをきっかけに、皆様にもカーニバルに訪れていただきたいと思っています。
〈参考サイト〉
ヴィアレッジョ・カーニバル 公式サイト https://viareggio.ilcarnevale.com/
ヴェネツィア・カーニバル 公式サイト http://www.italiancarnival.com/index.php
カーニバル、とは https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AC%9D%E8%82%89%E7%A5%AD
『I carri e i volti della sfilata di Mezza Quaresima, che hanno riempito Bergamo di colori, primabergamo.it』
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