Online shopping site for Italian products selected by Italians
Shopping guide
For Italian products, enter italiadesign
japan
Online shopping site for Italian products selected by Italians
Shopping guide
For Italian products, enter italiadesign
japan
ITALIA DESIGN BLOG
2022.12.05 [mon]
真っ赤なトマト。みずみずしいレタス。ちょっと味見させてもらう一切れのチーズ。
ラビオリスタンプとペッパーミルも必要だったな …。
街には「イタリア」がそこかしこに転がっています。イタリア人たちを支えるのは、街の市場〈メルカート〉。
メルカートは売買の場のみではなく、人と会ったり情報交換をしたりするコミュニケーションの場となっており、コミュニティを大事にしてきたイタリア人たちには欠かせない日常の一つです。
今回はメルカートからイタリアの日常を見てみましょう。
INDEX : クリックで移動
1. メルカートってなに?
“Mercato”とは?
人々の交流の場となった、市場
何が買える?
いつ?
どこで?
◉ Torino | Porta Palazzo(Porta Pila) , Balon
◉ Palermo | Ballarò
◉ Venezia | Mercato di Rialto
◉ Napoli Porta Nolana
◉ Bologna | Mercato di Mezzo , Mercato dell’antiquariato in Santo Stefano
◉ Roma | Campo de’ fiori , Porta Portese
◉ Lucca | Mercato Antiquario Lucchese
◉ Firenze | Mercato Nuovo
◉ Arezzo | Fiera Antiquaria di Arezzo
3. 進化し続けるメルカート
4. 終わりに
マーケットと聞くと、食品を思い浮かべますか?それともハンドメイドなど、雑貨でしょうか?
野菜は八百屋。魚は魚屋。服は服屋。
専門店に行き商品を買っていたのはおおよそ一昔前のことになってしまいましたが、
イタリアをはじめとする欧州各国では未だ、地域に密着したマーケットへ買い物に出かける人も多くいます。
日本語では市場、英語でいうmarketは、
イタリア語ではmercato(メルカート)
といいますが、
語源はラテン語で「取引をする」と言う意味の mercari から派生した mercatus という言葉です。
株や為替の取引所もこの言葉が使われていますよね。
イメージからも想像ができるように、どの言語でも一般的に”人が集まって商品売買を行う場所”のことを指します。(Oxford Languages より引用)
太古の昔、人間がコミュニティを形成し始めた時にはすでに、物を交換してお互いのニーズを満たすことを目的とした市場の原型が存在していたと言われています。
コミュニティが大きくなるにつれてその需要が大きくなり、街にいくつもの市場が形成されました。
時代によって、建物や場所も移り変わっていきましたが、どの時代にも人々の生活の中心に常にありました。
やがて物や人の移動が盛んになるにつれ販売されるものが多岐に渡るようになったため、例えば腐りやすい食品は地下、魚は冷蔵保管と用途にあった保存が求められるようになり、固定の屋内市場が普及したようです。
イタリアのメルカートでは、食品に限らず様々なバラエティに富んだものを購入することができます。
メルカートで購入できるものの一部をご紹介します。
食べ物
果物や野菜
肉や魚
チーズやサラミなど加工食品
スパイスや調味料
お菓子、甘いもの
雑貨
日用品
衣料品
ハンドメイド
ooo
お土産
古着
アンティークや骨董品
おもちゃ
またメルカートや地域によっては、 パニーニや揚げ物のテイクアウト屋台があったり、ポルケッタやオリーブなど惣菜の量り売り、天然石やワイン、オーガニック食品など少し変わった特産品も売っていたりするので、見て回るだけでも楽しめます。
チーズやサラミなどは味見をさせてくれたり、
交渉次第で値引きやおまけをしてくれるのもメルカートならではの楽しみ方です。
イタリアのメルカートは一般的に、朝からお昼頃まで開いていることが多いです。
特に生鮮食品を扱うメルカートは朝イチ!というイメージが強く、犬の散歩をしながら買い物をする老人夫婦の姿をよく見かけます。
平日のみ、週末のみ、毎週・毎月決まった曜日など、開催される日もメルカートによって様々です。
インターネットで検索すると、主催者のHPやFacebookで概要を確認できます。しかし小さい街やマーケットの場合は、ネットの掲載すらされていないこともしばしば。街中の掲示板や電柱にポスターを貼り告知している街もよく見かけます。
一番確実なのは、その街の住民に聞いてみることです。コーヒーのついでにバルの店員さんに聞いてみると親切に教えてくれますよ!
市場は街の中心部である広場や教会のそば、その街で歴史的な場所など、広くて人が集まる中心となる場所で行われていることが多いです。
メルカートは、大きく分けて野外市場と屋内市場の2つに分かれます。
野外市場は、決められた日に広場や道沿いなどにテントを立てて行われる市場です。
マルシェや青空市場というと想像がつくと思います。
この辺りが食品、この辺りは日用品とだいたいエリア分けされていることが多く、散策しやすいのが特徴です。
年中同じ出店者の場合もあれば、競争率が高いメルカートでは1年の出店が抽選で決まる地域もあるそうです。
毎日やってるメルカートもあれば、月に一度など決められた日にしかやっていないメルカートもあるので、
事前調査が必須です。
一方で屋内市場は、常設の大きな建物内に小さなお店が並んでいるメルカートです。
食料品を扱っていることが多いですが、特に肉や魚など特別な保存方法が必要な商品が並びます。
天候や気温に左右されることのない屋内市場は、ゆっくり買い物ができるのでおすすめです。
また常設になるほど流通が盛んな都市だけあり、
異国の珍味やそこでしか手に入らない物などを仕入れているお店も多いので、じっくり見て回るのが◎。
1 Torino | Porta Pila , Balon
2 Palermo | Ballarò
3 Venezia | Mercato di Rialto
4 Napoli | Porta Nolana
5 Bologna | Mercato di Mezzo , Mercato Dell’antiquariato in Piazza Santo Stefano
6 Roma | Campo de’ Fiori , Porta Portese
7 Lucca | Mercato Antiquario Lucchese
8 Firenze | Mercato Nuovo
9 Arezzo | Fiera Antiquaria di Arezzo
Porta Pilaは、通称Porta Palazzoのトリノ方言の呼称です。
このメルカートは、51,300平米(!)の敷地内に約700(!!)もの屋台が並ぶ、ヨーロッパ最大の野外市場として知られています。
八角形に広がるレプブリカ広場には所狭しと屋台がひしめき合い、色とりどりの野菜や果物、衣料品を吟味する人たちで賑わいます。
また広場の一角にはお肉屋さんや惣菜屋さんが並ぶ屋内市場があり、この中も大盛況。
ハムやチーズ、お肉などをグラム単位でカットしてくれます。ピエモンテ地方の食材をゲットするのに最適な場所です。
Porta Palazzo 公式ホームページ
トリノ観光案内 公式ホームページ
巨大市場のすぐそばで毎週土曜日に行われる蚤の市は、開催地名にちなみ「バロン」という愛称で親しまれています。
食材ではなく、骨董品やコレクションなど雑貨がメインのメルカートです。
毎月第2日曜日は「Gran Balon(大きい、という意味)」になり、さらに規模が大きくなります。コレクターやバイヤーたちもこぞって見に来る街の一大イベントです。
イタリアを代表とするメルカートの一つ、パレルモのバッラロ・メルカート。
その歴史は古く、なんとアラブ支配の時代まで遡ると言われています。
このメルカートを歩いているとあちらこちらで”Abbaniate!”という声が聞こえますが、日本で言う”いらっしゃいませ!”という意味なんだそうです。
パレルモ市 公式ホームページ Ballaròについて
ヴェネツィアで最も有名で歴史がある(なんと1097年から!)メルカート。
運河を背景とするこのメルカートは、ほか地域とは違う雰囲気を味うことができます。
現在リアルト橋がかかっている場所は、初め舟橋が建てられ、木造の橋が建てられたのちに、現在のリアルト橋の姿になりました。
メルカートは月曜日から土曜日の朝から昼まで行われており、サンテラズモ島で栽培された野菜たちが目玉商品です。また海に近いヴェネツィアならではの魚のラインナップも魅力的です。
かつてサンテラズモ島で栽培されていたスパイスやハーブが売られていたエルバリアというエリアは、今ではアペリティーボの場所として姿を変え、ベネチア人たちに親しまれています。
ヴェネツィア市 公式ホームページ リアルト・メルカートについて
15世紀から続くと言われているナポリで有名なメルカート。観光名所としても有名なノラーナ門で開かれるメルカートです。
ノラーナ門を含む現存する門は4つありますが、
歴史にはネアポリス(ナポリの前身、紀元前5世紀頃)時代に建てられたナポリの街を囲う城壁と20の門があったそうです。
毎日14時まで開かれているノラーナ・メルカートは、野菜や肉だけでなく、衣料品や日用品の屋台まであります。またナポリ名物が食べられるストリートフードの屋台もあるので、おいしいものを食べながら散策ができるのでとってもおすすめです。
そしてこのメルカートが最も賑やかになるのがクリスマス直前。
クリスマスイブには魚料理を食べるという伝統を守り続けているナポリ人たちが、ロブスターやタラなどを求めてこのメルカートに押し寄せ大混雑になります。冬のナポリでしか見られない貴重な光景です。
歴史のあるメルカートが数多くあるボローニャでも
特徴的な街の中心部にあるメッゾ・メルカート。
その歴史はこの地域が穀物の交易所として栄えた
1400年ごろにも遡ると言われています。
この辺りの路地名を見ると、
via Calzolerie(靴屋), via Pescherie Vecchie(魚屋)など、当時の商店街のような様子が垣間見えます。
15世紀以降何度か街の再構築のために解体と建設が繰り返され今の形になっていきました。
Mezzo(間)と呼ばれるのは、このメルカートがボローニャの中心商業エリアであるマッジョーレ広場とポルタ・ラヴェナーナ広場の間に位置することが由来であるそうです。
ボローニャ名物であるモルタデッラやボロネーゼ、トルテリーニの売店はもちろん、アペリティーボや食事も提供してくれるお店が並んでいるので、まるで映画に中にいるような雰囲気で食事も楽しむことができるのが最大の魅力です。
ボローニャ観光案内 公式ホームページ メッゾ・メルカートについて
7つの教会が一つになった珍しい複合教会、サントステファノ教会群の目の前の広場では、毎月第2土曜日と日曜日にアンティーク・メルカートが開催されます。
100ほどの出店者が店を構える蚤の市では、アンティークの食器や家具、陶器からガラクタともいえる代物まで揃っています。
ボローニャ観光案内 公式ホームページ 蚤の市について
アペリティーボの時間に若者で賑わうカンポ広場では、実は毎朝メルカートが開かれています。
1869年から始まったこのメルカートの初期は、”vignarole”の商売の中心地でした。”vignarole”とは、毎朝畑で採れたハーブや野菜などを広場に持ってきて、その場で綺麗にしながら直売をする女性たちのことを指します。
この頃のメルカートは果物や野菜のみの販売でしたが、時と共に肉や魚、花などが売られるようになりました。
現在はローマ名物であるそら豆やペコリーノチーズ、アーティチョークなども並びます。今では舗装されたこの広場は、以前マーガレットが一面に生い茂る畑だったことから、”花の広場”と呼ばれるようになったとか。
変わったメルカート
”現在のメルカートは昔とは形を変えた部分もたくさんある。今の顧客は2つに別れる:住民と観光客である。ここに住む住民たちは1房のぶどうや1キロのじゃがいもを探しているのに対して、アーティチョークやカルボナーラを探している観光客のニーズにも応えなければいけない屋台たちは、野菜や果物、肉、魚、チーズなどに加えて、カルボナーラやアマトリチャーナを作るために調合してあるミックススパイスや袋詰めのリゾット、トリコロール柄のパスタなどいわゆる”お土産”となるものも扱うようになった。”
(ローマのメルカートに関するウェブサイト、Mercato di Roma より、一部を抜粋、意訳)
ローマのメルカート情報 Mercato di Romaホームページ
1945年に闇市の新しい本拠地となってから、アーティストや作家から若者に至るまで、様々な人のインスピレーションのるつぼとなっているメルカート。
骨董品市というよりは蚤の市として有名で、本、おもちゃ、レコード、家具などいわゆるガラクタも多く並びます。毎週日曜日の朝から昼過ぎまで開催されています。
1970年に始まってから現在は220もの出店者数にまで成長したアンティーク・メルカート。イタリア全土で最も大事なメルカートの一つとして知られています。
その名声はアイテムの数や質のみならず、ルッカの歴史的で美しい街との調和のためであるとされています。
毎月第3土曜日と日曜日に開催されています。
ルッカ観光案内ホームページ ルッカの蚤の市について
フィレンツェのメルカートといえばここ!というくらい有名なメルカート。数多くの市場があるフィレンツェで観光客にも有名なメルカートの一つです。
イノシシのブロンズ像を触ったことがある人もいるでしょう。
現在は革製品やシルク製品などが売られていますが、
昔は高級織物やトスカーナの麦わら帽子など
フィレンツェの工芸品などが売られていたそうです。
またマーケットがある建物ロッジャは1550年頃に建てられた歴史的建築物でもあります。
2018年で50周年を迎えた、国内で最古のアンティーク市。毎月第一土曜日と日曜日に開催されています。
街の中心地であるグランデ広場で行われるこの市はその有名さから多くの人が集まり、
近年では訪問者数2万人を記録しました。
収集家たちが集めたアートやビンテージ家具、宝石、時計、古いポスターをはじめ、
古い実験器具や楽器、織物から現代のコレクション、ハンドメイド作品まで出店アイテムも多岐に渡ります。
セカンドハンドに注目が高まっている今、世界各地からバイヤーが訪れるメルカートになりました。
「街のメルカート」というと、日本の商店街のような時代遅れなイメージも無視できません。
観光客へのアピールも重要になってきている今、メルカートを現代的に再編する動きが各都市で見られます。
2014年に、レストランの起業家であるウンベルト・モンターノ氏とイタリアの観光を引っ張るカルディーニ・ヴァンヌッチ氏のアイデアから、メルカート・チェントラーレというプロジェクトが始動しました。
食をベースに文化やイベントを老若男女に提供できる文化施設を作る町興しのプロジェクトです。
フードコートや食材の屋台はもちろん、学生向けの野外学習や料理教室、ワークショップを開催しています。
フィレンツェに初めにオープンしてから、ローマ、ミラノ、トリノと続けてオープンし、新しい観光スポットとして国内外から注目されています。
また1950年に発足したローマのメルカート・イタリアは、食料品の販売に加えて証明書や書類の発行など簡単な市役所の手続きができる新しい取り組みを行なっています。
さらにオーガニックやビーガン対応店、ペット向けの販売、テイクアウトカウンターなどもあるほか、whatsappでのオンラインショッピングも始まりました。住民に馴染みのあるメルカートがより快適な暮らしの手助けになっているようです。
他にも、ボローニャのメルカート再開発でフードホールが誕生し食スタイルの幅が広がったことや、
イタリア各地の厳選商品を販売するEATALYの躍進、各所で行われている古着のフリマなど、時代やニーズに合わせてメルカートが変化しています。
パンデミックという大きなイベントを通して小売モデルが見直されたり、健康や食生活に関する新たなトレンドが生み出されたりする中で、人々のライフスタイルが即時に映し出される鏡といっても良いほど人々の生活に密着しているメルカート。
この先どのように変化していくのか、とても楽しみですね。イタリアにお越しの際には、ちらっとメルカートを覗いてみてください。きっと新たな発見があることでしょう。
〈参考サイト〉
市場とは Wikipedia:https://it.wikipedia.org/wiki/Mercato
メルカート特集 :“Mercati Rionali più belli d’italia“, The WOM Travelより